自閉スペクトラム症(ASD)の特性と支援の工夫

このブログでは、放課後等デイサービスで働く私が、凸凹の特性や支援について解説しています。

今回取り上げるのは、自閉スペクトラム症(ASD)

自閉スペクトラム症(ASD)は、自閉症・アスペルガー症候群・広汎性発達障害の総称です。

ぜひ最後までお読みくださいね^ ^

目次

自閉スペクトラム症(ASD)の特性

自閉スペクトラム症(ASD)の特性は、大きく以下の3つと定義されています。

  • 社会性と対人関係の障害
  • 言葉の発達の遅れ
  • 行動や興味の偏り

それでは、1つずつ詳しく解説します!

特性①:社会性と対人関係の障害

自閉スペクトラム症(ASD)の特性の1つ目は、社会性が乏しく、対人関係で悩みを抱えやすいこと。

相手の思いを汲み取ったり、集団で他者と関わったりするのが苦手なのです。

これらの社会性の障害は、幼少期から、以下のような行動で現れやすいと言われています。

1歳頃抱っこされるのを嫌がる
2〜3歳頃目を合わせない・呼びかけに応じない
3歳〜人に関心をもたない・友達と遊ばない

これらの特性は、集団行動をするようになる3歳頃から特に目立ってくるケースが多いものです。

特性②:言葉の発達の遅れ

自閉スペクトラム症(ASD)の2つ目の特性は、言葉の発達の遅れです。

具体的には、以下のような特性が見られます。

  • ボキャブラリーが少ない
  • おうむ返しをする
  • 説明するのが苦手
  • 指示が理解できない

これらは、2歳頃に「発語がない」「会話がスムーズに続かない」等の違和感から始まるのが一般的です。

特性③:行動や興味の偏り

自閉スペクトラム症(ASD)の3つ目の特性は、行動や興味に偏りがあることです。

具体的には、以下のような行動が見られます。

  • いつも同じ遊びばかりする(反復行動)
  • 特定のものに対して強いこだわりがある

例えば、おもちゃを一列に並べたがる、独自のルーティンにこだわる、偏食といった具合です。

行動や興味が極端に偏り、そこに強くこだわってしまうのです。

特性④:その他の特性

凸凹さんは、障害固有の特性以外にもさまざまな特性を併せ持っていることがあります。

あくまで一例ですが、代表的なものを例示します。

  • 非言語コミュニケーション(冗談やジェスチャーなど)の理解が苦手
  • 音や光に不安を感じる(感覚過敏)
  • 癇癪を起こしやすい

これらは自閉スペクトラム症(ASD)に限らず、あらゆる発達障害で多く見られる特性です。

自閉スペクトラム症(ASD)の療育

ここまで、自閉スペクトラム症(ASD)による発達の凸凹についてまとめました。

ここからは、自閉スペクトラム症(ASD)の療育についてまとめます。

療育では、その子の凸凹に合わせたアプローチを行い、困りごと(課題)の緩和・解消を目指します。

そして、社会の中でより自分らしく、輝いて生きていけるように導いていくのです。

今回は、自閉スペクトラム症(ASD)で特に用いられる療育法を2つご紹介します。

療育①:TEACCHプによる療育

TEACCHは、アメリカで生まれた、自閉スペクトラム症(ASD)の療育プログラムです。

このプログラムの中で重要視されているのが「構造化」という概念です。

これは、簡単に言うと、環境を整備することで混乱を防ぐというもの。

具体的には、以下の4つの方法で生活環境を整理します。

空間の整理遊ぶ部屋・勉強する部屋など、部屋ごとに役割を決める。
予定の整理予定を伝えて見通しをもたせる。
作業の整理手順や流れを簡潔に統一する。
作業量や所要時間を事前に伝える。
視覚的に整理予定や手順をイラストなどで見える化する。

このように、複雑な情報を整理して自分でできるようにすることで、社会的自立を促すのです。

療育②:認知行動療法による療育

認知行動療法は心理療法の1つ。

自閉スペクトラム症(ASD)の療育の中でも多く用いられます。

主に、子供が癇癪を起こしてしまった時や、気持ちの切り替えがうまくできない時に用います。

認知行動療法による療育の流れは、以下の通りです。

  • 状況を振り返る(何が起きたか?)
  • 気持ちを振り返る(何が嫌だったか?)
  • 行動を振り返る(何をしてしまったか?)
  • 望ましい行動を考える(今後はどうするか?)

じっくり話を聞きながら行動を見つめ直し、成長や変化が見られた時はたくさん褒める。

その積み重ねで、子供たちは少しずつ課題を克服できるようになっていきますよ!

自閉スペクトラム症(ASD)の支援の工夫

自閉スペクトラム症(ASD)の支援で特に意識するべきことは、以下の通りです。

自閉スペクトラム症の支援の工夫
  • 視覚的に伝えて見通しを持たせる
  • 短く具体的な言葉で伝える
  • 気持ちを落ち着けられる空間をつくる

それでは1つずつ解説します。

視覚的に伝えて見通しを持たせる

視覚的アプローチは、支援においてとても重要なポイントです。

自閉スペクトラム症(ASD)の子供たちにとっては、身の回りの物事1つ1つがとても複雑で、混乱してしまいやすいもの。

全体の流れを示したり、やるべきことが一目で分かるようにしたりと情報を視覚的に与えてあげると、見通しがもてて安心できます。

口頭だけでなく、視覚的な情報もセットで伝えるよう心がけましょう!

短く具体的な言葉で伝える

言葉選びも、支援で大切なポイント。

自閉スペクトラム症(ASD)の子供たちは、言葉の理解が苦手です。

また、冗談や慣用表現の意味を推察するのも難しいもの。

だからこそ、物事を伝える時は「短く」「具体的に」が鉄則

  • おもちゃを引き出しの中にしまいましょう(「それをしまって」はNG )
  • 鉛筆を人の目に向けてはいけません(「そんなことしたらダメでしょ」はNG )

「いつ」「何を」「どこに」「どの程度」「どうするか」といった情報が明確に伝わるように話すのがポイントです!

気持ちを落ち着けられる空間をつくる

自閉スペクトラム症(ASD)の子供たちは、どうしても対人関係でのトラブルを起こしてしまいがち。

泣いたり癇癪を起こしたりして、気持ちの切り替えに時間がかかってしまうことも多いでしょう。

そんな時は、1人でクールダウンできる空間を用意してあげるのが効果的です。

あらかじめ安全な部屋をつくっておき、「気持ちが落ち着かなくなったらここに来てね」と伝えておきましょう。

クールダウンできたら、じっくりと話を聞き、行動を振り返ることも大切です。

おわりに

自閉スペクトラム症(ASD)を含め、発達障害は「治す」ものではありません。

大切なのは「個性として受け入れること」

そして「付き合い方を身に付けていくこと」です。

子供たちが大人になった時、社会の中で自分らしく生きていけるようにサポートするのが、私たち大人の役割だと考えています^ ^

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この記事を書いた人

現Webライター・児童指導員。
1児のママです^ ^
教育・福祉に関する情報と、子育てや自己実現に関する日常を、まったりブログにしています♪

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