このブログでは、放課後等デイサービスで働く私が、凸凹の特性や支援について解説しています。
今回取り上げるのは、学習障害(LD)です。
学習障害(LD)の子供たちの困りごとと効果的な支援について解説します。
ぜひ最後までお読みくださいね^ ^
学習障害(LD)の特徴
学習障害(LD)の特徴は、大きく以下の2つです。
- 「読む」「書く」「話す」「聞く」「計算・推論」のどれか1分野が際立って苦手
- それ以外の知的発達の遅れはない
学習障害(LD)は、知的発達の遅れがないにも関わらず、学習面において特定の分野でのみ困難が生じる障害です。
さらに以下の3つのタイプに分類されます。
- 読字障害(ディスレクシア)
- 書字障害(ディスグラフィア)
- 算数障害(ディスカリキュリア)
どの能力に困難が生じているかによって、タイプが異なるのです。
学習障害(LD)の現れ方
学習障害(LD)は、小学校入学以降にその特性が顕著に現れるようになるケースが一般的です。
知的な遅れや社会性の障害は見られないため、小学校で本格的な学習が始まるまで気づかれないことが多いのです。
また、集団生活は難なくできるため、「努力不足」と捉えられ、見過ごされやすい側面もあります。
だからこそ、その子に合った支援を丁寧に進めていく必要があります。
学習障害(LD)の具体的な特性
ここからは、学習障害(LD)の特性をタイプごとにまとめます。
読字障害(ディスレクシア)の特性
学習障害の1つ目のタイプ「読字障害(ディスレクシア)」の主な特性は、以下の通りです。
- 文章を読むのが極端に遅い、またはよく読み間違える
- 読んでいる文字や文章の意味を理解するのが苦手
- 文章の内容を捉えたり要約したりするのが苦手
読字障害は、文字自体を読む能力がないのではありません。
文章を言葉のまとまりで区切りながらスラスラ読んだり、意味や内容を理解したりすることが難しいのが特徴です。
学校の授業では、国語の音読や、文章問題の読み取りなどで困難が生じてしまいます。
書字障害(ディスグラフィア)の特性
学習障害の2つ目のタイプ「書字障害(ディスグラフィア)」の主な特性は、以下の通りです。
- バランスの良い文字を書くのが難しい
- 書き写しの速度が極めて遅い
- 助詞などを使いこなして文章が書けない
- 考えを文章にして表現することが難しい
書字障害では「書くこと」「綴ること」に困難が生じます。
文字が綺麗に書けないだけでなく、板書などを書き写すことも苦手です。
作文のような長い文章を綴ることは非常に難しく、苦戦してしまいます。
また、書くことが難しい子供は、読むことも難しい傾向があります。
そのため、書字障害をもつ子供は、読字障害も伴っていることが一般的です。
算数障害(ディスカリキュリア)の特性
学習障害の3つ目のタイプ「算数障害(ディスカリキュリア」の主な特性は、以下の通りです。
- 数の概念の理解が難しい
- 計算の習得が難しい
- 規則性の習得が難しい
- 文章問題を解くのが難しい
算数障害では、「計算」や「推論」に困難が生じます。
基本的な数の概念(10のまとまりなど)が理解できなかったり、四則計算が苦手だったりするのが特徴です。
また、規則性を掴んで推論したり、複雑な文章問題を解いたりするのも難しく感じます。
学校の授業では、算数の学習でついていくのが苦しくなってしまいやすいタイプです。
学習障害(LD)の支援の工夫
学習障害(LD)は、1人1人苦手な分野や度合いが異なるため、その子に合った支援を進める必要があります。
ここでは、学習障害(LD)に効果的な支援を、タイプごとにご紹介します。
読字障害(ディスレクシア)に対する支援
読字障害(ディスレクシア)に対する支援は、以下のように行います。
- 「文字→単語→語句→文章」と徐々に読めるようにしていく
- 単語の読み方を聞かせて意味を教える
- 例文を作って語彙力を高める
まずは平仮名の1文字読みを定着させ、慣れてきたら単語や語句をまとまりで読めるようにします。
それが定着したら、最終的には単語や語句の区切りを意識して文章を読めるようにしていきます。
また、大人が音読して単語の発音を聞かせたり、短い例文作りをしたりするのも非常に効果的です。
書字障害(ディスグラフィア)に対する支援
書字障害(ディスグラフィア)に対する支援は、以下のように行います。
- 「なぞり書き→模写→聴写」と徐々に書けるようにしていく
- 道具を用いて身体に文字を書く感覚を覚え込ませる
- 書き順や、漢字の「へん」や「つくり」に注目させる
- 語呂合わせで書き方を覚える
前述の通り、書字障害の多くは、読字障害も伴っています。
そのため、まずはスラスラと文章を読めるようになることが必要です。
文章が読めるようになり、文字の書き方を習得していく場合、最初はなぞり書きから始めましょう。
その後、習得度に応じながら、絵本の模写や聴写へとステップアップしていきます。
また、ザラザラのやすりを下に敷いたり、目を閉じたりしながら字を書き、身体に字の形を覚えさせる方法も有効です。
他にも書き順や漢字の構成に着目させたり、語呂合わせを作ったりするのも、楽しく文字を覚えるための効果的な支援です。
算数障害(ディスカリキュリア)に対する支援
算数障害(ディスカリキュリア)に対する支援は、以下のように行います。
- まずは10の合成・分解を理解させる
- 1問をゆっくり丁寧に解く
- 考え方の道筋を理解できるようフォローする
数の概念の基本は、10の合成・分解です。
ブロックなど数を視覚化できる道具や、さくらんぼ計算などを使って、まずは10の概念を理解できるようにします。
次のステップは四則計算です。問題は数をこなすよりも、1問1問丁寧に理解して解くことを重視します。
その際、単に答えを教えてしまうのではなく、考え方の道筋を丁寧に噛み砕いて説明することが大切です。
図やブロックなどの道具を使って数を見える化しながら、1つ1つ理解して解き進めるようにしましょう。
おわりに
学習障害(LD)の支援で大切なのは、その子が「どこでつまずいているか」「どんなアプローチだと理解しやすいか」を見極めることです。
単に苦手な分野を把握するだけでなく、つまづきの根源を的確に理解してあげる必要があります。
そして、道具を用いたり身体を使ったりと、その子に合ったアプローチで支援していくことが大切です。
その子のペースで苦手を克服していけるように、じっくりと丁寧にサポートしていきましょう^ ^